漫画家を諦めた俺が同人印刷所の人に人生を救われた話 2

前回は一社目の出版社に見切りをつけ、新しい場所で再スタートを切ることを決めたところまで話しました

そして次の出版社。仮にB社とします(イニシャルに意味はないです)
とりあえずB社に持ってくように新しい作品を描き、持ち込みに行きました。ここでも反応はよく、名刺をもらいました。もうこの時点では名刺をもらったくらいでは喜べないくらいにはなっていたのですが。担当はつく、だが一旦編集部に持ち帰り誰が受け持つか会議する的なことを言われてその日は帰されました。まあ担当がつくのか、今度はいい人だといいな、と思いその日は帰りました。そして後日。B社から連絡が来て担当者が決まったので顔合わせをしたいとのことでした。そして初めてB社での僕の担当と会うことになりました。

B社の担当さんはなんというか、高圧的というか正直第一印象から怖い人だと思いました。でも大事なのは編集者としてのスキル。そのとき手持ちにあったネーム(漫画の設計図みたいなものです)をいか3つ見せました。以下僕とB社担当の会話。

僕「どうですか?」
B「読みました。はっきり言ってネーム1と2はくそつまんないです。でもこのネーム3だけは段違いでクオリティ高いです。これでいきましょう。」

こんな感じでした。わりと語調は再現してます。こやっぱり怖いなと思いながら一本認められたことに安堵しそのネームを作品に仕上げることになりました。
それと同時並行に持ち込んだ作品が月例賞で佳作を取りました!佳作というと大抵の賞は掲載されます。ここでついに僕のデビューが決まったわけです!とてもうれしかったのですがここで担当の一言「正直佳作レベルじゃないですけど○○さんには頑張ってほしいので無理やり佳作にねじ込みました。別に恩を売るわけじゃないですけど」
…めちゃくちゃ恩売ってません?なんかこの時点で担当と僕のパワーバランスが決まってしまった感じがありました…まあでも一年以上持ち込んでデビューできなかったA社と比べてB社はものの1ヶ月程度でデビューまでこぎ着けました。ああ、やっと先に進めた。このままここで頑張っていけるんだ。そう思ったのもつかの間。実際はそうなりませんでした。

担当編集者には当たり外れがあると言いましたがここで一番最悪な奴を言います。人間性に問題のあるやつです。人として倫理観がなく作家にリスペクトを持ってない、完全に見下してるタイプの人

B社の担当はそのタイプでした。
あまり詳しい事情を書くと特定されそうなので避けますが、基本的に僕にマウントを取る形で打ち合わせは進められ、電話をすればいつもめんどくさそうに対応し、会って打ち合わせをしたいと言うと「なんで会う必要あるんですか?」と言われるような、一言で言えばパワハラをされていました。
面白くないネームを描けば言葉の暴力、アドバイスもなく面白いやつを持ってきてください。それだけ。

B社はデビューまでしましたがこの担当とやってくのは精神的に無理だ…と思いました。この記事を書いてる今ならば担当換えを申し出ることもできたと反省はしてますが…。

こうしてB社から離れまた別の編集部を探すことにしました。よくこういうのを「担当ガチャ」と言ったりします。僕はSSRの担当が出るまでリセマラをする事にしました。

その後半年間で4社まわりました。正直ここからの編集者たちは面白いエピソードありませんのでダイジェストで
C社(イニシャルに意味は以下略)は商売人思考でとにかく売れる作品を描け!と言ってました。仕事には熱心なのですが、あまりこっちの心情ややりたいことを汲み取ってくれずそれがストレスでした。D社(イニシャルに以下略)はとても編集者としてのリテラシーが高く投稿者でしかない僕に対し全ページネームを赤ペンで直してくれたり、二時間半に及ぶ長時間の打ち合わせをしてくれたりとても熱心でリテラシーの高い方でした。でも最終的にはD社は僕の実力不足で合わないと向こうから言われてしまうような形になってしまいました(でも今まで会った編集者さんで一番感謝してるのはD社の編集さんです)
E社(イニ略)は基本的に持ち込みの時点でやる気の無い方でした。この方は担当になるまでもなく帰されました。

そしてF社(イ略)に持ち込みに行きました。
F社では担当がつきました。
でもその時点で漫画仲間から僕はこう言われていました。

「○○さん流石に担当運なさすぎるよ…」

ここで初めてみんな自分にあった担当を見つけてちゃんと活動できてるということを知りました。僕は漫画は描けるのに人に恵まれず二の足を踏み続けてる状態から抜け出せてないと。もうなんというかこうなると流石に精神の方がやられてくるというか「なんで俺だけ、もっと違う人と会えたら!」ととにかく嘆く感情に苛まれてました。この時点で漫画活動二年目が終わり三年目に突入しようとしてたところ。僕は心に限界を感じ決意しました。

漫画から距離を置こう

漫画家を諦めた俺が同人印刷所の人に人生を救われた話 3 終わり

たぶん次で最後です